蒲蒲線開業の効果は?
本日の日経新聞に「羽田空港連絡の「蒲蒲線」30年代開業 大田区・東京都合意」という記事が掲載されました。
「蒲蒲線(新空港線)」は現在約800m離れているJR・東急の「蒲田駅」と京浜急行線「京急蒲田駅」とを結ぶ路線の計画。
西山ライフデザインの最寄り駅、「雪が谷大塚駅」は「東急池上線」の駅なので乗り入れる路線とは違いますが、「池上線」も「多摩川線」も同じ車両を共有する兄弟路線。どちらも3両編成です。
蒲蒲線は東急多摩川線の矢口渡駅から京急線の大鳥居駅までの間を地下化して接続する計画です。現在の多摩川線は「多摩川駅」で東横線、目黒線から多摩川線に乗り換えることができます。
東横線は東京メトロ副都心線と直通運転しており、東武東上線や西武池袋線と接続。多摩川線は東京メトロ南北線や都営三田線と接続しており、これらの沿線の住民や企業にとっては羽田空港へのアクセスが格段に向上する、と言われています。
羽田空港周辺は空港の沖合展開に伴って取り壊された一部施設用地の再開発が進み、大田区の特徴であるモノづくりやイノベーションに関連した施設の建設が進んでいます。
蒲蒲線の開業によりアクセスが向上する羽田空港周辺を中心としたエリアでの雇用創出などが見込まれ、経済効果が見込めるといわれています。
一方、現状の多摩川線は3両編成の電車ですので、蒲蒲線が接続された場合には、目黒線の一部が「新空港線直通」として直接乗り入れる可能性が高いのではないでしょうか。
多摩川線の駅はそもそも3両用のホームしかありませんから、おそらくほとんどの駅が「通過駅」になると思われます。蒲田駅も蒲蒲線の駅は地下になるため地上に上がってくるのは一苦労。JR京浜東北線との乗り換えはむしろ今よりも不便になるのではないかと危惧されます。
多摩川線沿線や蒲田駅は通過駅であり、周辺地域に人を呼び込む効果は低いのではないでしょうか。
多摩川線と車両を共有している池上線のダイヤにも少なからず影響がありそうです。
そもそも東急線と京急線は軌道の幅(ゲージ)の規格が異なるため、そのまま乗り入れることはできません。(この問題はきっと鉄道会社間で解決するのでしょうが。)
大田区にはより詳細な整備計画や経済効果の試算を公表してほしいとともに、東急線、京浜急行線にはより詳細な計画案を示していただきたいと思います。
大田区は自治体負担分の7割を負担するとのことですが、本当にそれだけの投資に見合った効果が得られるのか明確に示していただきたいと思います。(今公表されているものだけではその根拠があいまいなので、もっと明確で具体的な効果が示されることを期待します。大切な税金なので。)
多摩川線は地下化、高架化もほとんどされておらず、数多くの踏切があります。前述のようにすべての駅のホームは3両編成のためのもので、それ以上の長さの車両には対応できず、停車しないと考えられます。
蒲蒲線接続により、多摩川線沿線はデメリットのほうが大きくなるのではないかとも思われます。